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赤ちゃんポストの仕組みは?障害児を預ける親・手紙の存在とは?

赤ちゃんポストの仕組みは?障害児を預ける親・手紙の存在とは?
夫婦にとってのかけがえのない素晴らしい瞬間であるはずの出産。

しかし世の中には、さまざまな事情でその大事な命を責任を持って育てることができない方もいます。

今回は、そんな新しい大切な命の最後の受け皿となっている「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」をご紹介させていただきます。

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赤ちゃんポストの仕組み

こうのとりのゆりかご赤ちゃんポスト

赤ちゃんポストは正式名を「こうのとりのゆりかご」といいます。

※このページでは認知度の高い「赤ちゃんポスト」という呼び名を使わせていただきます。

「子どもの生命」と「中絶や育児などにより孤立しがちな女性」を守るために2007年5月熊本市の慈恵病院に設置されました。

赤ちゃんポストの仕組みとはどういうものなのでしょうか。ここで詳しく説明します。

1.赤ちゃんポストの扉を開けると「お父さんへ お母さんへ」と書かれた手紙があり、それを受け取ることで保育器に赤ちゃんを寝かせることができます。
 
2.赤ちゃんが保育器に寝かされ扉が閉められると、常駐の職員がすぐに赤ちゃんを保護する仕組みとなっています。
 
3.一旦扉が閉められると外から開くことはできなくなりますが、もし後悔された時は、近くにのインターフォンを鳴らすことで、赤ちゃんと対面することができます。
 
4.親の手を離れた赤ちゃんは、健康状態に問題があれば治療を受け、問題がなければ児童相談所へ判断を委ねられます。
 
5.児童相談所は、市長に赤ちゃんの名前を決めてもらい、乳児院で赤ちゃんを育てながら里親を探します。
 
6.2歳を過ぎてしまった場合は「児童養護施設」へ移されます。

子どもを手放した親の内約18%は、子どもを自分のもとに引き戻すそうです。

ポストを利用した直後であれば問題ないのですが、里親に引き取られ絆を構築した数年後だと、子どもの受ける傷がもっと深くなるのではないかという懸念があります。
 
 

障害児を預ける親が急増

障害児を預ける親が急増

約10年間で預けられた130人の中で障害があった子どもは約1割ということです。

赤ちゃんに障害があったからポストへ預けたという親が存在することは悲しい出来事ですが、仮に赤ちゃんポストがなかった場合、その子はどうなっていたのか。

ということを考えるとやはり赤ちゃんポストがあってよかったということになります。

しかし、仮に赤ちゃんポストがなかった場合、その親はその事実を乗り越え子どもと共に成長していたかもしれません。

いずれにせよ、赤ちゃんポスト自体の存在が「悪」ではないことは確かです。

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お母さんへの手紙

お母さんへの手紙

赤ちゃんポストの扉を開けると「お父さんへ お母さんへ」と書かれた手紙があります。

それを受け取らなければ赤ちゃんを保育器へ入れられない仕組みとなっているのです。

この手紙は持ち帰ることができ、児童相談所への連絡先や手放してしまったことを後悔した際に名乗り出ることができるよう、赤ちゃんポストの連絡先が記されています。

「命を守るだけではなく、母と子の絆も守りたい」と願う慈恵病院の配慮です。

 
 

日本の赤ちゃんポストの数

日本で赤ちゃんポストがあるところは「熊本市の慈恵病院のみ」です。

なぜ他県に広まらないのでしょうか?

それは「赤ちゃんポスト」の仕組みが法で定められた正式な規定ではないからです。

育児放棄を防ぐ行政の立場としては、親への子育て支援を強化していくという方向性の違いによるものです。

「赤ちゃんポスト」が設立された2007年に安倍首相も「大変抵抗を感じる」というコメントを残しています。

それほどに「赤ちゃんポスト」を設置する側と行政の大きな隔たりがあるのです。

そんな中、2018年9月には神戸のマナ助産院という施設で「小さないのちのドア」という取り組みが始まる予定です。

これは妊娠・出産中のお母さんの相談に乗ってくれる窓口で、赤ちゃんポストとはやり方が違いますが、子どもと両親を守りたい、助けになりたいという想いは同じだと思います。

こちらの助産院ではもともと赤ちゃんポストの設置を目指していましたが、やはり様々な理由により断念をしてしまったようです。

それから試行錯誤したのちに「小さないのちのドア」という取り組みに至ったのでしょう。

本当に素晴らしいことだと思います。

妊娠中、子育て中のお父さん、お母さんに寄り添う施設が増えてくれることを切に願います。

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海外の赤ちゃんポスト

外人の赤ちゃん

もともと慈恵病院の赤ちゃんポストは、ドイツの赤ちゃんポストを参考にしたものでした。

インドやパキスタン、フィリピンや韓国、北米など海外にも赤ちゃんポストがあります。

この中でも特にドイツは2000年に設置し、その数が100カ所以上にもなった「赤ちゃんポスト先進国」です。

そのドイツで「子どもが自分の出生について知る権利がある」との考えから、匿名で利用される赤ちゃんポストの廃止を勧告しました。

そして赤ちゃんポストの代わりとして「内密出産制度」の導入を進めています。

「内密出産制度」とは 
1.妊娠した母親は妊娠相談所に実名を明かします。
2.医療機関では仮名で出産します。
3.生まれた赤ちゃんは、他人と養子縁組をします。
4.赤ちゃんが16歳になった時、実の母親の身元を紹介することが可能となります。

この制度については、慈恵病院も導入を求めすでにドイツへ視察されたり、シンポジウムを開いたりして動き始めています。
 
 

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管理人のひとりごと
 
私も含め忘れてしまいがちですが、これを読まれている人は一人の例外もなく、出産という行為によってこの世に生を受けました。
 
そしてほとんどの人が実の父母によって、育てられていると思います。
 
それはご両親が育児を放棄しなかったからです。
 
当たり前のことのようですが、実際には妊娠・出産に対してやむを得ない事情があり、出産や育児を断念する人がいるのも事実です。
 
世の中の歯車が一つずれると育児を受けられなかったのは自分かもしれません。
 
日本人は他の民族に比べ「共感する力」が強いと言われています。
 
きっと赤ちゃんを抱いて困っている母親がいたら、手を差し伸べたくなることでしょう。
 
そういったことを考えると「赤ちゃんポスト」は、特別なものではないと思います。
 
この3年間(2014-2017)で慈恵病院が受け入れた赤ちゃんの内、親が熊本に住んでいた人は6.9%だったそうです。
 
全国には沢山の妊娠・出産に悩まれているお母さん・お父さんがいるということの現れだと思います。
 
「赤ちゃんポスト」の取り組みが日本全国に広がることと、妊娠されているお母さんや子育て中の人に対して温かい手を差し伸べられる世の中になることを切に願うばかりです。

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